【読書感想】「自分だけの答えが見つかる」13歳からのアート思考
- 作者:末永 幸歩
- 発売日: 2020/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
面白かった。タイトルに「13歳からの」ってあるけど全然大人でも読めるし、むしろ年を重ねると多角的な視点で見れなくなってくるので大人の方が見るべきなんじゃないかと感じた。
これまでアートって分野に関心がなくて全然見てこなかったけど、現代のように検索するとある程度は答えがわかる時代になると「答えのないもの」に意味があるんじゃないかなとは漠然と思ってた。今回、その「答えのないもの」についてどう考えたらいいのかを理解しようと思い本著を読んだ。
本著ではアート思考の考え方と6つの作品を通して芸術作品の鑑賞方法を教えてくれる。
アート思考とは何か
おおまかに説明するとアーティスト(芸術家)の思考法を取り入れ、自分だけの視点を持って答えを作り出す方法のこと。
アーティストは作品を生み出す際に以下のことを行っている。
- 「自分だけの物の見方」で世界を見つめている
- 「自分なりの答え」を生み出している
- 1.2によって「新たな問い」を生み出している
なぜアート思考を学ぶ必要があるのか
本著を読んで感じたメリットは以下だと思った。
- 創造性を鍛え、固定観念を外す効果が期待できる
- クリエイティブな発想ができるようになる
- 物事の表面だけでなく内面(過程)とも向き合うことができる
- AI[で代替しづらい分野のため市場価値が高まる
ビジネスパーソンの間でアート思考が注目されてるらしいけど、これだけメリットがあったら注目するのもうなずける。有名どころだとスティーブ・ジョブズがテクノロジー×アートを意識していたけど、今後はよりこのムーブが続きそう。
学んだ点
芸術作品を鑑賞するときは、作成された時代での考え方や背景を考えなければいけない。特に19世紀に写真が登場したことでアートとしての概念がガラッと変わってしまったので鑑賞する際は気を付けるべきポイントだと思う。
また、以下の6つのクラス(授業)でそれぞれの作品の背景を教えてくれる。
- 「すばらしい作品」ってどんなもの?
- 「リアルさ」ってなんだ?
- アート作品の「見方」とは?
- アートの常識ってどんなもの?
- 私たちの目には「なに」が見えている?
- アートって何だ?
特に、「リアルさ」ってなんだ?では、アブロ・ピカソの「アビニヨンの娘たち」の解説してくれているのだが、当時中学生だった私は美術の教科書でこれを見たとき全く素晴らしさがわからなかった。(ただ、テストで出るので作品名は覚えさせられた)。しかし、「多視点」から見た5人の娼婦を「再構成」している絵なんだと知り、視点を変えてこんなにも違う世界が生み出せるのかとゾッとした。
感想
世界を広げてくれるという意味では、今回この本を読んでよかったなと思った。多分、芸術を嗜んでいた人からすれば割と当たり前の考え方だと思うけど、自分にはなかった考えで、読み終えてからは少しだけ物事を多角的に見たり疑ったりする機会が増えた。
ほかにもアート思考に関する本や論文が結構出てるみたいなので探して読んでみようかなと思う。